キャッシュを最大化する仕組み 第4回 キャッシュフローを安定できないか?

キャッシュを最大化のための第4の視点は立替えた金額を考える「運転資金差」です。

そして、第5の視点は、固定資産への投資を考える「投資キャッシュフロー」です。

最後の第6の視点は、借入金について考える「財務キャッシュフロー」です。

それらを考えるためのポイントを解説いたします。

【第4の視点】運転資金差を減らす

少しやっかいなのが「運転資金」です。
運転資金とはビジネスに必要な掛け取引で、「立替えた金額」と「立替えられた金額」の差を言います。
もちろん「立替えた金額」が大きいと資金が少なくなってしまいます。

立替えた金額とは「売掛金・受取手形・未成工事支出金」などの残高を指し、立替えられた金額とは「買掛金・未払金」などの残高を指します。

例えば、受注や売上は伸びても回収が遅く売掛金が大きくなると現預金は増えません。

売掛金や受取手形の残高は、ずばり顧客からの「回収サイト」が影響します。
「大口顧客で回収サイトが長い!」というお悩みはまだ多いようです。

もちろん、回収サイトの交渉を1年・2年かけて行う事も大事ですが、思い切って「回収サイトの短い中口・小口先の新規開拓」で経営体質を変える事ができたケースも多々あります。
ついでに粗利益率もとても良くなりました。
また、仕入先・外注先の支払いサイトが短すぎるケースもあります。

仕入先に無理難題を言うのは難しいと思いますが、「支払いサイトは適切か?」という検証も必要です。
回収・支払いの資金についても戦略的に取り組む必要がありますね。

【第5の視点】投資キャッシュフローが過度な負担にならないようにする

新規営業拠点開設費とか新規設備投資の金額を投資と言います。
それらの投資は「営業キャッシュフローの範囲で行う」というのが資金安定化の原則です。

但し、自己資金だけで新しい投資をするというのが難しい場合は、次の財務キャッシュフローの「新規借り入れ」によって不足資金を補てんする事になりますが、後々の事を考えると極力自己資金を貯めて投資に回したいものです。

また、過去に投資した土地などがキャッシュフローのネックになっている場合もあります。
営業キャッシュフローに貢献していない資産は換金して資金余力を持つ方が次につながるというケースもあります。

中には、経営者や親族、更には仲の良い経営者仲間に貸付をしてしまっているケースもありました。
これも会社の資金を圧迫しますので、計画的に回収するべきものですね。

ちなみに、役員報酬が少ないために役員に貸付するというケースがありますが、これはしっかりと必要な役員報酬をもらって、それをもらえる決算書になるように努力するという本筋の考え方を持つ方が良いと思います。

【第6の視点】財務キャッシュフローのマイナス(返済)が過度にならないようにする

これは、新規借り入れによる資金の増加と返済による資金の減少を表します。
借入の本数が増えると、毎月の返済負担が大きく、現預金が減る要因となります。

もちろん、借入契約の通りに返済できるだけの営業キャッシュフローを生み出すのが原則です。
しかし、仮に営業キャッシュフローはそれなりに生み出せているのに、過去の融資の積み重ねでその返済額が営業キャッシュフローを超えているような場合には、銀行との様々な交渉が必要になります。

いわゆる、借り換え・借入金の一本化、難しい場合はリスケなどの交渉です。
その際には、銀行に対して誠意をもって実情を話し、実現可能性の高い経営計画を見せキチンと説明したうえで、協力を仰ぐ必要があります。

一般的に、リスケや借入の一本化を受け入れてもらえた場合、現状ではそれ以上に返済できる力がないという事を意味しますから、新規の借入はしばらく困難になると思います。
従って、何が何でも必要な営業キャッシュフローを生み出すという決意と行動が必要になります。