建設経営

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原価高騰・賃上げ時代の「経営再設計」を考える

変化する経営環境に適応するには、現事業の経営のあり方を再設計する必要があると思います。
その方向性について考えてみましょう。

工事利益を最大化する凡事徹底

これは、見積前の積算最適化・適性金額での見積書提示、実行予算、原価管理という工事利益を確保する当たり前の活動です。
これは環境変化に適応する最低条件だと思います。

現場で忙しい建設業では、わかっているけどなかなか実践できてないケースを多く見てきました。
従来はこの凡事徹底で黒字拡大が実現してきましたが、原材料費の高騰・賃上げの環境下では「最低限のマネジメント」という位置づけになりました。

詳細については別に掲載していますのでお読みください。

顧客構造を見直す

上記の凡事徹底をして、見積書を提示しても、値引きを要請されたり、まったく聞く耳を持ってくれない顧客の場合はどうでしょうか?
その顧客に受注を依存するのは如何なものでしょうか?

適正な価格を受け入れてくれる顧客を頑張って開拓し、適正な顧客構造を作る事が大変重要な活動になってきました。

顧客も良い施工をしてくれる建設会社を捜しています。
これまでも多くの企業で顧客構造を見直し頑張って営業して頂き、高収益化したケースは多くあります。

重点工事分野を見直す

これまでに多くの建設業の工事分野別の工事利益の分析をしてきました。

例えば、500万円規模の工事は儲かっているのに、たまたま受注できた3000万円の工事で大きな赤字を出してしまった。
得意な工種は儲かっているのに、不得意な工種を受注した結果、赤字になってしまった。
このようなケースを多く見てきました。

建設業には、施工技術・マネジメント力・外注先の特性などで、「儲かる工事分野」があります。
その儲かる工事分野を増やす事に注力して頂く事も大変重要です。

施工エリアを見直す

残業規制や割増率UPの環境を踏まえると、現場までの移動時間が多くかかる遠方工事は採算がとりにくくなります。

これは大変難しいテーマですが、上記の顧客構造の見直しとか、下請メインの場合は近隣の元請工事を頑張って増やすなど、戦略的に取組む事も必要になる可能性があります。

あらゆる手段で、休日日数増加・残業削減を考える

このテーマは中小建設業にとって最も難しいテーマです。

地域や工種・業態、事業規模などで切り口和変わりますし、申し訳ないのですが私共もまだ十分な対策イメージが確立できている訳ではありません。
ここでは参考までにいくつかの建設業さんとブレーンストーミングで話し合っている対策を例示しておきます。

【参考】 休日日数増加・残業削減のブレーンストーミング結果

●現場への移動時間、管理のための移動時間を減らす
 ❑現場管理クラウドで施工管理者の移動時間を減らす  
 (意思疎通の時間も削減できる)
 ❑戦略的に近場の工事を受託する受注構造をつくる
 ❑地域での元請受注を増やす
 ❑遠方で現場の多い地域に事業所を設ける
●着工・竣工前後の過負荷を減らす
 ❑社内スタッフに事務作業を移管し助けてもらう
 ❑集中する時期の業務の外注先を確保する
 ❑派遣会社を活用する
●繁閑差を減らす営業活動
 ❑閑散期の受注促進
 (少し利益が薄くても稼働で経常利益UP)
 ❑繁忙期の山崩し
 (生産性改善・工期交渉)

●地域の同業者との助け合い
 ❑同業種組合の仲間と稼働情報を共有し受発注しあう
 ❑現場で一緒の企業と稼働情報を共有し受発注しあう
●外注先さんとの業務分担の話し合い
 ❑休日の取り方を話し合い、曜日や日にちを組み立てる
 ❑労働時間帯を話し合いお互いの労働時間を削減する
●外国人労働者の確保
 ❑募集ルートを確保する
 ❑日本語教育の良い業者と提携する
 ❑事務スタッフで日本語教育ができる体制をつくる

建設業はまだまだ市場のある素晴らしい業界です。

しかし今、建設業はかつてないコストアップの経営環境にあり、それを価格転嫁できるまでには一定期間を要する可能性もあります。
既存事業のビジネスモデルを再度見直し、コストアップに耐えうるように「経営再設計」をし、今後の「財務再設計」をしてこの時期を乗り切って頂きたいと思います。

工事利益を最大化する凡事徹底

中小建設業の経常利益の源泉は「工事利益」です。
以下の内容は建設業界に携わる方であれば誰でもご存知の事ですが、それらをキチンと実行するか否かで中小建設業の黒字とキャッシュは大きく変わります。

凡事徹底が出来ているか、一通りご確認下さい。

積算をキチンとし根拠のある商談をする

建設は個別の現場で施工内容も原価も変わるため「個別積算」が不可欠です。

仕様書に基づいて、必要な材料・副資材、外注費、労務費、諸経費を積算します。
現地調査により仕様書と現況にGAPがあれば発注者と調整して積算します。

これらの原価積算金額を目標とする原価率(1-売上総利益率)で割り戻した金額で見積書を作成します。
このように根拠のある数値で「いくらまで値引きしていいのか」「この工事は受注すべきか否か」を想定して商談に臨みます。

実行予算で利益目標を明確にする

受注が決まったら、積算段階の原価の内容をもう一度見直し、より多くの利益をねん出できないかを考えます。

施工方法の工夫による労務費の削減や外注費の交渉、材料や資材の購入条件の検討や交渉などにより、もうひと捻り利益ねん出を考えます。
実行予算の妥当性や現場別の実際の利益は、現場監督によって大きく変わります。

その差は、施工計画と実行予算の妥当性にあるようです。
経験の浅い現場監督の施工計画と実行予算を力量のあるベテラン監督が事前にアドバイスする事で現場利益は大きく改善可能です。

工事台帳で利益目標管理をする

建設現場には思わぬコストアップ要因があります。

「材料が食い込んだ」「元請の調整不足や天候により工程が変わり工数が過剰になった」といった具合です。
受注した現場で利益をねん出する為には「コストアップ情報を早く察知し、利益確保の対策を早めに打つ」といったマネジメントが重要です。

その為には、工事台帳で実行予算の消化度合いや残予算を常時ウォッチしなければなりません。
その意味で、工事台帳を日々作成しているか否かは黒字とキャッシュ最大化の一番重要なポイントであると言えます。

追加・修正工事は有償化する

建設現場に追加工事や修正工事はつきものです。

残念ながら中小建設業ではそれらを無償で受けているケースが多く見られます。
建設業法でも追加工事・修正工事は発注者・受注者双方で協議するように求めていますが、現実は中々そのような交渉が出来ていないケースが多いようです。

その要因は受注者にもあります。
追加・修正を言われた段階で早めに会社に報告し対処してもらうとか、現場責任者が自分で交渉可能であれば早めに交渉するといった取り組みが望まれます。

もちろん、追加修正によりどの程度コストアップして工事利益をどの程度圧迫するのかを算出して交渉に臨む必要があります。

山を崩し、谷を埋める

建設業に繁忙期・閑散期はつきものです。

繁忙期に受注が増えても外注費が増え、あまり儲からない状況になります。
閑散期には仕事がなくても減らない経費(固定費)負担が大きくなり儲かりません。

繁忙期には受注した工事の工期を極力短縮したり、繁忙期の施工になる物件については工期の交渉をしたりしてなるべく「山を崩す」努力で外部購入を減らします。

閑散期には小さな工事でも材料費や外注費といった外部購入額を差し引いた金額が売上総利益や営業利益の積上げになりますのでなるべく「谷を埋める」営業努力をします。

利益の出る受注を増やす

中小建設業の利益をいくつかの区分で分析すると、利益が出る受注と利益が出ない受注の傾向が見えてきます。

例えば、元請別に受注した工事の売上・原価・総利益を集計すると元請別損益が見れます。
その結果、利益の出る元請、利益の出ない元請がわかり、当然利益の出る元請からの受注を増やす努力をします。

また、工種別損益を計算してみると儲かる工種、儲からない工種が見えたりします。
工事金額規模別の計算でも儲かる金額帯、儲からない金額帯が見えます。

中小建設業では「限られた施工体制を極力儲かる受注に振り向ける」ことが黒字とキャッシュの最大化に貢献します。

このように、建設業では当たり前の事を、どれだけ励行しているかが決算書の経常利益とキャッシュ残高に大きな影響を及ぼします。

今日からできる建設業許可を取得するための準備

建設業許可を取得するためには、申請書類の他に許可の要件を証明するための書類を準備する必要があります。
建設業許可の申請をしようと思ったときに、要件は満たしているのにそれを証明するための書類が用意できなくて申請ができないといった、もったいないケースも少なくありません。

ここでは、近い将来に建設業許可の取得を考えている方向けに、今日からできる建設業許可を取得するための準備についてご説明します。

 ○○ ○○(行政書士)
  ~紹介文~

事業所得で確定申告をしましょう

一人親方や個人で事業を行っている方は、毎年確定申告をされているかと思います。
建設業許可の要件の1つに、個人事業主などの経営者の経験が5年以上必要になるというのがあるのですが、これを証明するときに必要になるのが確定申告書の控え書類になります。

そもそも確定申告をしていなかったという方は、事業を営んでいた証明ができませんので、もちろんダメなのですが、きちんと確定申告をしていたのに、控えの書類を失くしてしまったという方もよくいます。
古い書類をいつまでも取っておくのは面倒だというお気持ちはよく分かりますが、建設業許可の申請に使える財産だと考えてしっかり保存しておきましょう。

一応、税務署で手続きをすれば、過去7年分までは写しを再発行してくれる制度はあるのですが7年より前の書類は手に入れることはできません。
手続きも面倒ですし、発効までに1か月ぐらい時間がかかったりしますので、ご自身のお手元にあるのが一番です。

次に多いのが確定申告をお手元に保存していたのに、使えないというケースです。

1つ目は、控えの書類に税務署の受領印がない場合です。税務署に提出する前の書類を保存しているとか、確定申告をインターネットで電子申告をして、その記録がない書類を保存してしまっているなどの理由だと思いますが、この場合は、控えの書類を失くしてしまったのと同じ取り扱いになってしまいます。

2つ目は、確定申告の所得の名目が給与所得になってしまっている場合です。
細かい説明は省きますが、個人事業で経営をしている方の確定申告は、事業所得という名目で申告しなければなりません。
給与所得で申告していると誰かに雇われていたことになってしまいますので、経営者としての証明にはなりません。
経費の領収書を集計するのが面倒だからとか、確定申告の無料相談会で言われるままに申告してしまったなどとお聞きしますが、どうせ確定申告をするのであれば事業所得として申告するようにしましょう。

役員登記をお忘れなく

建設業許可の申請で経営者としての経験を証明するのに、個人事業主であれば確定申告書の写しで大丈夫なのですが、法人の場合は、登記簿謄本に取締役として記載されている期間で証明します。

自分は会社の役員だと聞いていたのに、会社を辞めて独立した後に登記簿謄本を見てみたら登記がされていなかったというケースがあります。
現在お勤めの会社で役員をされているという方は、念のため会社の登記簿謄本を取得してみてください。
登記の情報は一般に公開されていますので、法務局でどなたでも閲覧することが可能です。

また、現在は一般の従業員としてお勤めされている方は、独立して事業を始めた後もご自身の経験だけでは5年が経つのを待たないと許可の申請ができません。
今の会社で役員になるチャンスがあるのでしたら、あとあと使える経験になるかもしれませんね。
ちなみに監査役は建設業許可では経営者としての経験には認めてもらえません。

取引の記録をしっかり残しましょう

経営者としての経験が確かに証明できたとして、次はその経営経験が建設業のものかどうかが重要になります。
建設業を営んでいたという証明には一般的に工事の請負契約書、注文書・請書、売上の請求書、預金通帳の入金の記録などを使用します。

いずれも最低でも5年以上の書類は必要になりますので、まずは過去の書類を保存しておくことを心掛けてください。
わりと大きな会社と取引している場合は心配ないのですが、取引先に求められなかったので請求書などを発行していなかったとか、現金手渡しで代金を受領していたので通帳に取引の記録がないなど取引の記録がないために証明が困難になるケースもあります。
お互い手間がかからずに一見すると楽なように思えますが、あとあと許可の申請をする際に苦労することになりかねません。

取引の記録は書面で残して、支払いは振込にしてもらうようにお願いしてみましょう。
書類に記載してある内容も同じく重要です。
建設業の工事を請け負っていたんだなぁと誰が見ても分かるように、少なくとも現場名、工事の内容、工期、請負金額ぐらいは記載されていることが望ましいです。

資格の取得をおすすめします

建設業の現場で10年以上経験を積んでいると許可を申請する際の要件を1つ満たすのですが、これを証明するのが結構大変だったりします。

今までにお話してきた工事の経験を証明する書類を5年分そろえるのも大変なのに、同じ書類を10年分となると保存している方のほうがめずらしいぐらいです。
ご自身の会社の書類でしたらまだ何とかなりそうですが、他の会社にお勤めだった経験となると他人の会社に書類を用意してもらわなければなりません。
退職の仕方があまり円満ではなかったので今さらお願いできないとか、普通に考えても他人に請求書や通帳を見せるのって抵抗がありますよね。

実はこれ一定の資格を持っていると10年分の書類が省略できます。
資格なら何でもよいという訳ではないのですが、難易度の高いものから1年ぐらい頑張れば取れるものまでいろいろあります。
すでにお持ちの資格が建設業許可の申請に使えるのか、今後のために取っておいたほうが良い資格は何なのかを一度お調べしてみると良いかと思います。

資格がなければ、経験を証明する書類が必要になりますし、経験を証明する書類と資格を併用する場合もありますので、書類の保存もとても重要なのですが、資格の取得を目指すことはご自身の成長にも役立つはずです。
ご自身だけではなく会社の従業員さんや同僚と勉強会をして資格の取得を推奨している会社もあります。

お仕事が忙しいなかで資格を取得することは大変かと思いますが、その分メリットも大きいので是非チャレンジしてみてください。

欠格要件にご注意ください

許可の要件の一つに欠格要件に該当しないことがあります。
簡単に言うと暴力団でないとか、破産をしていないとか、傷害事件をおこしていないかといったような内容です。
欠格要件に該当してしまうとどんなに経験が豊富で、たくさん資格を持っていたとしても許可の取得ができなくなってしまいます。

特に前もって準備をするという話ではないですが、自分の身に降りかからないとも限りませんので念のためご注意ください。

社会保険に加入しておきましょう

以前に比べるとだいぶ少なくなりましたが、会社で雇用されて勤めているのに社会保険に加入していない方がいらっしゃいます。
加入義務があるのに手続きをしていないのであれば、もちろんお勤め先の会社も悪いのですが、社会保険の控除がないほうが自分の手取りが増えるので、本人がそれを良しとしている場合もあります。 

社会保険の加入記録は、公的に証明されますので、過去の勤務経験などを証明するためにもきちんと記録を残しておきたいものです。

まとめ

今回は、建設業許可を取得するために今日からできる準備についてご紹介しました。

どれも当たり前にできそうな内容ですが、日々の仕事に追われているとつい疎かになってしまいがちな内容でもあります。
近い将来に建設業許可の取得を検討されている方は、ご自身の現状を再確認して、改善できる点があれば是非取り組んでみてください。
今日からの取り組みがいずれ身を結ぶ日がきっと来ると思います。

これ以外にも建設業許可の基礎知識や許可の要件などもご紹介していますので、是非、参考にしてください。

(関連リンク)
>>建設業を始めるのに許可が必要? 知っているようで知らない建設業許可のこと
>>ざっくり分かる建設業許可を取得するための6つの要件

建設業を始めるのに許可が必要? 知っているようで知らない建設業許可のこと

取引先から建設業許可を取得するように言われたけど、よく分からない。
建設業許可を取得して会社を大きくしたいという人も多いのではないでしょうか。

ここでは、これから建設業許可の取得を検討している方向けに、そもそも建設業許可ってなに?という基礎知識から申請するまでに気を付けるべきポイントを解説します。

執筆者
○○ ○○(行政書士)
~紹介文~

 

そもそも建設業許可とはなに?

最初に建設業許可とはそもそも何なのかをお話します。

建設業を営む方は、「軽微な建設工事」を請け負う場合以外は、建設業の許可を受けなければなりません。
ここでいう建設業とは、元請け・下請、法人・個人に関係なく建設工事の完成を請け負うことをいいます。

では、許可を受けなくても請け負うことができる「軽微な建設工事」とはなんなのでしょうか?
こちらは建築一式工事を請け負う場合とそれ以外の工事を請け負う場合とで条件が違っていますので、次の表をご参照ください。

建築一式工事の場合
次の①か②のいずれかに該当する工事
建築一式工事以外の場合
 ①1件の請負代金が、1500万円(税込み)未満の工事 1件の請負代金が500万円(税込み)未満の工事
②延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事

※建築一式工事とは住宅の新築工事が代表例で、通常は元請として請け負った工事のみが該当します。

上記の金額には、消費税の金額と注文者が材料を提供してくれる場合の材料費・運送費を請負金額に含めて考えます。
まだ自分はそんなに大きな工事を請け負っていないと思っている方も実は許可が必要だったりすることもあるかもしれませんので注意が必要ですね。

建設業許可の種類(業種)

建設業の許可は、じつは29種類の業種(次の表をご参照ください。)に分かれていて、請け負う工事の業種ごとに許可を受ける必要があります。

許可を取得しようと思った場合は、まずどの業種の許可が必要なのかを検討しなければなりません。
よく建築一式工事を持っていればなんでもできると思っている方がいますが、各専門工事の許可を持っていなければ、500万円(税込み)以上の専門工事を請け負うことはできませんので、ご注意ください。

(業種の表)

(関連記事)
>>【徹底解説】建設業許可の業種29種類の違い

特定建設業の許可と一般建設業の許可の違い

建設業許可には業種のほかに(特定)建設業と(一般)建設業の違いがあります。

特定建設業とは、発注者から直接請け負った建設工事(元請工事)で、下請けに発注する代金の合計額が4500万円(税込み)以上(建築一式工事は7000万円(税込み)以上)となる場合に必要となる許可です。
下請工事を請け負っている場合には関係ありませんが、元請工事を増やしたい方や元請工事が増えてきて請負金額も大きくなってきた場合には、特定建設業の許可の取得を検討してみてもよいかもしれませんね。

一般建設業とは、特定建設業の許可が要らない工事のみを施工する場合に必要な許可です。
特定建設業を取得するのはいろいろと高いハードルがありますので、最初に許可を取得する場合は、一般建設業の許可からスタートするのが普通です。

(関連記事)
>>特定建設業許可を取得するための準備はこれ!!
>>元請工事を請け負う5つのメリット

知事許可と大臣許可の違い

1つの都道府県内のみに「営業所」を置いて営業を行う場合には、知事許可が必要になります。

2つ以上の都道府県内に「営業所」を置いて営業を行う場合には、国土交通大臣許可が必要になります。

ここでいう「営業所」とは、建設工事の請負契約を締結する事務所のことなので、会社の本店所在地と同じとは限りません。
たとえば、会社の本店所在地が東京都でも建設業を営む営業所が千葉県にある場合は、千葉県知事の許可が必要になります。

許可申請までの期間

千葉県知事許可の場合には、特に問題がなければ、申請書類を提出してから45日で許可証が発行されます。
申請書類を提出するまでにも必要書類を準備したり、書類を作成したりで1~2か月かかるのが一般的です。

500万円以上(建築一式工事は1500万円以上)の工事が請け負えるのは、許可を取得してからになりますので、大きい工事の受注を予定している場合には、計画的に準備を進めるようにしましょう。

まとめ

今回は、建設業許可の基礎知識と注意するポイントについてご紹介しました。
知っているようで知らないこともあったのではないでしょうか。

いざ元請さんから仕事の依頼があっても建設業許可がないために、受注ができないといったお話はよくあります。
依頼があってからでは対応が間に合わないので、事前の準備と計画が重要ですね。

これ以外にも建設業許可を取得するための要件や許可を取得した後の手続きなどもご紹介していますので、是非、参考にしてください。

>>ざっくり分かる建設業許可を取得するための6つの要件
>>建設業許可を取得した後に気を付ける5つのこと

ざっくり分かる建設業許可を取得するための6つの要件

建設業許可は、一定の要件を満たし、必要な書類を用意すれば、誰でも取得することができます。
細かい点は置いておいて、必ず必要な要件はたったの6つです。
ここでは、これから建設業許可の取得を検討している方向けに、建設業許可の取得に必要な6つの要件をざっくり説明します。

執筆者
○○ ○○(行政書士)
~紹介文~

 

経営業務の管理責任者がいること

1つめの要件は、会社に「経営業務の管理責任者」がいることです。
「経営業務の管理責任者」と言われてもよく分からないかと思いますので、ざっくり説明いたしますね。
「経営業務の管理責任者」とは、過去に建設業を営む会社の役員や個人事業主として、5年以上の経験がある人をいいます。この経営者としての経験がある人が、会社であれば今の役員の中に常勤で1名いる必要があります。

建設業許可を取得しようと思った時点で、社長が5年以上、役員や個人事業主をしていれば簡単なのですが、そうでなければ5年経つのを待つか、そういう人を外部から連れてこなければなりません。
現場の経験はたくさんあっても独立したばかりだと要件を満たさないこともありますので、一番難しい要件かもしれないですね。
(法改正で要件を緩和する措置もあるのですが、話が複雑になるのでここでは割愛しています。)

専任技術者を営業所ごとに置いていること

2つ目の要件は、営業所ごとに専任の技術者を置いていることです。
専任の技術者とは、建設業に関する一定の資格を持っているか、資格はないけど過去に10年以上の現場経験がある人をいいます。
資格を持っているか人か、10年の現場経験がある人が従業員さんでもいいので会社に常勤していれば大丈夫です。(要件その1)でご説明した経営業務の管理責任者と兼任することもできますので、社長お一人で両方兼務している場合もよくあります。

気を付けたいのは、10年の経験で申請できる業種は1つだけだということです。
大工工事と内装工事など複数の業種を1度に申請したい場合は、資格を持っているほうが有利です。
たとえば1級建築施工管理技士の資格を持っていると17業種の申請が可能です。

勉強は苦手だという社長のお話もよく聞きますが、資格は努力次第で何とかなる要件なので是非がんばって頂きたいところですね。
資格によって難易度やそもそも建設業許可の申請に使えるかどうかに違いがありますので、よく分からない方は申請する役所や専門家に相談してみてください。

請負契約に関して誠実性があること

3つ目の要件は、請負契約に関して誠実性があることです。
許可を申請する会社の役員さんや個人事業主さんが請負契約に関して不正や不誠実な行為をする恐れが明らかな場合は許可の要件を満たさないことになります。

過去に不正な行為で許可を取り消されたことがあるとか、脅迫や横領など法律違反をする可能性がなければ通常は大丈夫です。

財産的基礎又は金銭的信用があること

4つ目の要件は、財産的基礎又は金銭的信用があることです。
安定して建設工事を受注して経営できるようなお金や体力が会社にあるかどうかを判断するための要件になります。

銀行で〇月〇日の残高を証明してくださいと言って発行してもらう「残高証明書」という書類の残高が500万円以上あるか、○月〇日に500万円以上の融資が可能ですという「融資証明書」という書類を銀行で発行してもらえれば大丈夫です。

通常は、この〇月〇日という日から1か月以内に許可の申請をしなければいけませんので、資金繰りに余裕がない会社の場合は、申請までのスケジュールを計画して取り組まれるとよいかと思います。

また、これとは別に決算書の「自己資本」という数字が500万円以上あればそれでも大丈夫です。
「自己資本」とはざっくり言うと過去に積み上げた利益の金額と資本金の額を足したものです。
建設業の会社は資本金を500万円以上にしたほうが良いとよく言われるのはこれに関係しています。

(関連記事)
>>建設業の社長が知っておくべき決算書の読み方
>>建設業で会社を設立するメリット・デメリット

欠格要件に該当していないこと

5つ目の要件は、欠格要件に該当していないことです。
許可を申請する会社の役員さんや個人事業主さんが暴力団であるとか破産をしてまだ免責されていない場合などは欠格要件に該当してしまいます。

普段から真面目に経営されている方は、あまり心配する必要のない要件ですが、たまにあるのが酔っ払って喧嘩をしたとか、ついカッとなって従業員に暴力をふるってしまったなどで傷害罪の罰金刑になってしまうケースがあります。
そうなると今後5年間は許可の申請ができませんし、許可を持っている場合は許可が取り消されてしまいます。

ご自身だけでなく、他の役員さんも対象になりますので役員を追加する際などはご注意ください。

社会保険に加入していること

最後に6つ目の要件は、適切に社会保険に加入していることです。
ここでいう社会保険とは、健康保険・厚生年金保険・雇用保険の3つです。

建設業許可を取得するために社会保険に加入するという訳ではないので、要件の1つとして数えるのも変な話ですが、それだけ未加入の業者が多かったのでしょう。

法律上加入する義務があるのに、社会保険に加入していないと許可の申請もできませんし、現場にも入れないということもありますので、うっかり手続き漏れがないようにしましょう。

(関連記事)
>>社会保険の加入は必要?知っているようで知らない社会保険のこと

まとめ

今回は、建設業許可を取得するための6つの要件について、ざっくりとご紹介しました。

実際には経験の証明の仕方や書類の準備など細かい点も気にしなければならないのですが、この6つの要件を満たしていれば、理屈上は許可の取得は可能です。

特に経営業務管理責任者専任技術者は、要件を満たすまでに時間がかかる場合もありますので、早めから準備しておくと申請がスムーズになります。

これ以外にも建設業許可の基礎知識や許可を取得した後の手続きなどもご紹介していますので、是非、参考にしてください。

>>建設業を始めるのに許可が必要?知っているようで知らない建設業許可のこと
>>建設業許可を取得した後に気を付ける5つのこと

準備はじめていますか? 2024年4月から時間外労働の上限規制について

皆さんもいろんなところで「働き方改革」という言葉を耳にするのではないでしょうか。
まだまだ身近に感じていない方も多いかもしれませんが、建設業界にもいよいよ2024年4月に「働き方改革関連法」が適用されます。

ここでは「建設業の2024年問題」ともいわれる「時間外労働の上限規制適用」について、解説いたします。

①建設業は特別に猶予されていた

労働環境をより良くするための「働き方改革関連法」は、2019年4月より順次施行されています。
ただし中小企業に関しては1年間の猶予が与えられ、2020年4月から適用とされました。
一方で、以下の事業・業務については、長時間労働の背景に、業務の特性や取引慣行の課題があることから、時間外労働の上限について適用が5年間猶予され、また、一部特例つきで適用されることとされています。

【適用猶予事業・業務】
・工作物の建設の事業
・自動車運転の業務
・医業に従事する医師
・鹿児島県及び沖縄県における砂糖を製造する事業

この「工作物の建設の事業」がいわゆる建設業にあたり、5年間の猶予期間である2024年4月にいよいよ適用されます。

②時間外労働の上限規制について

そもそも労働時間は原則1週40時間、1日8時間以内の必要があると労働基準法で定められています。
これを「法定労働時間」といいます。

この労働時間を超えて労働者を働かせる場合は、「36協定(サブロク協定)」の締結が必要となります。
一般的に、36協定を結んでいる場合、時間外労働(残業)が可能となり1ヶ月45時間、1年間360時間までは残業ができることになります。

しかしこれまで、建設業では36協定で定める時間外労働の上限規制の適用除外とされていましたが、2024年4月1日以降は建設業にも上限が定められ、時間外労働の上限が原則として月45時間・年360時間となります。

特別条項付きの36協定を結んだ場合は45時間を超えた残業時間で労働をさせることが可能です。

これまでは残業時間の上限規制が無かったため、特別条項つき36協定において、時間の上限なく定めることができる状態でしたが、今回の改正によって特別条項付き36協定にも上限規制が設けられました。
特別条項付き36協定を結んでいる場合、残業時間は「月100時間未満(時間外労働と休日労働の合計)、年間720時間以内」が上限となります。

さらに、時間外労働と休日労働の合計について、「2か月平均」「3か月平均」「4か月平均」「5か月平均」「6か月平均」が全て1か月当たり80時間以内となる必要があるほか、時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6か月までという規制も設けられています。

 規制前  規制後
 法定労働時間 1日8時間、1週に40時間まで  1日8時間、1週に40時間まで
 36協定を結んだ場合  月45時間、年間360時間まで時間外労働を課すことができる
※厚生労働大臣の告示のみ
 月45時間、年間360時間まで時間外労働を課すことができる
※罰則規定あり
 特別条項付き36協定を結んだ場合  労働時間に上限なし  ・時間外労働は年720時間まで(休日労働を含まない)
・1ヵ月100時間未満(休日労働含む)
・2~6ヶ月平均で80時間以内(休日労働含む)
・月45時間に時間外労働を拡大できるのは年6ヶ月まで

 

一方、建設業に限った例外として、「災害の復旧・復興の事業」に従事する場合においては以下の上限規制は適用されません。

・時間外労働と休日労働の合計が単月100時間未満
・2~6カ⽉の各平均が80時間以内

2024年4月以降、これらの上限規制を順守しない場合、罰則が科せられます。

・6ヶ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金

加えて悪質なケースにおいては、厚生労働省が企業名を公表することもあります。

③規制への対策について

労働時間の上限規制に対応するために、今から労働環境の整備を進めていく必要があります。

・所定労働時間の枠組みの見直し
・週休2日制の推進
・年次有給休暇の取得促進
・適正な工期の設定
・人材確保と育成、定着
・生産性の向上

非常に厳しい課題ではありますが、次世代の担い手を確保していくにもこれら労働環境の整備・改善は避けては通れない取組みではないでしょうか。

④国交省による後押しも

国交省も「建設業の担い手については概ね10年後に団塊世代の大量離職が見込まれており、その持続可能性が危ぶまれる状況」という危機感を表しています。
そして

「建設業は全産業平均と比較して年間300時間以上の長時間労働となっており、他産業では一般的となっている週休2日も十分に確保されておらず、給与についても建設業者全体で上昇傾向にありますが、生産労働者については、製造業と比べて低い水準にあります。将来の担い手を確保し、災害対応やインフラ整備・メンテナンス等の役割を今後も果たし続けていくためにも、建設業の働き方改革を一段と強化していく必要がある」

として、
「建設業働き方改革加速化プログラム」を進めています。

具体的には、

I.長時間労働の是正に関する取組み
A)週休2日制の導入を後押し
B)各発注者の特性を踏まえた適正な工期設定の推進

II.給与・社会保険に関する取組み
A)技能や経験にふさわしい処遇(給与)の実現
B)社会保険への加入を、建設業を営む上でのミニマム・スタンダードにする

III.生産性向上に関する取組み
A)建設生産システムの全段階でICT活用を推進
B)各種手続、申請の電子化による仕事の効率化
C)限られた人材・資機材の効率的な活用を促進

といった取組み内容を掲げています。

⑤まとめ

今回は2024年4月から適用される時間外労働の上限規制についてご紹介しました。
職場の働き方改革についてあらためて考える機会となれば幸いです。

一方、人手の確保にも苦慮されているケースも多いと思います。
簡単ではありませんが労働環境を少しずつでも改善し続け、職場の魅力度アップを図っていただければと思います。

いよいよ原則化フェーズに突入!建設キャリアアップシステムについて

「最近建設キャリアアップシステムってよく聞くけどよくわからない…?」「そもそも導入することでメリットはあるのかな?」そういった方も多いのではないでしょうか。
そんな方に向けて、建設キャリアアップシステムの概要から加入するメリット・デメリット、建設業界の課題解決への役割について解説いたします。

 

① そもそも建設キャリアアップシステムとは?

2019年4月から運用が開始された国土交通省が推奨する制度になります。

英訳であるConstruction Career Up Systemの頭文字を合わせてCCUS(シーシーユーエス)とも呼ばれます。

CCUSは、技能者が、技能・経験に応じて適切に処遇される建設業を目指して、技能者の建設技能者の資格、社会保険加入状況、現場の就業履歴などを業界横断的に登録・蓄積し、能力評価につなげる仕組みです。

具体的には、建設業の技能者一人一人がキャリアアップカードというICカードを所有して、現場に設置されたカードリーダーにタッチすることで保有資格や就業履歴が蓄積されていくというものになります。

カードは初級技能者・中堅技能者・職長レベル・高度マネジメントレベルの4段階に分かれており、各職種の認定団体がレベルを評価します。

技能者の能力を「見える化」すれことで、能力に見合った適正な評価やキャリアパスの見通し、昇給や昇進といった処遇の改善につながるというのが制度の狙いです。

また職場での適切な指導・育成体制の整備や、人材流動性の向上を促すことも目的としています。

② 導入してメリットは?デメリットは?

建築キャリアアップシステムの導入について、本当に必要なのか疑問に思う点も多々あるかもしれません。事業者だけでなく技能者にとっても双方にメリットがあるか無いかが重要なポイントとなってきます。

ここでは「事業者」、「技能者」それぞれの立場からメリットとデメリットを整理してみたいと思います。

a)事業者のメリット・デメリット

メリット デメリット
導入事業者としてアピールできる
(自社能力や施工者の技術把握による)
費用がかかる(登録料・管理者ID利用料・現場利用料など)
客観的な労働者管理ができる 登録の手間がかかる
経営審査事項の加点になる 分かりにくい、マニュアルが膨大にある
現場・事務作業の効率化が図れる
優秀な人材を確保できる

 

b)技能者のメリット・デメリット

メリット デメリット
技能の正当な評価を得られる 登録料がかかる(10年に1回)
自身のキャリアを証明できる 登録の手間がかかる
適切に退職金を積み立て・受け取ることができる

 

③ 2023年度から原則化フェーズに突入

2023年度から国と自治体の公共工事に加えて民間工事でもCCUSを適用する方針が決定されました。
職人の処遇改善と労働環境の健全化によって、建設業界に若手を呼び込むことなど持続可能な環境を整える目的ではありますが、喫緊の課題解決として以下の狙いがあります。

✔建退共(建設業退職金制度)の掛金未納の解消
建設技能者の将来の保障とコンプライアンス問題解決のため、建退共におけるCCUS活用を官民一体となって推進すべく、令和5年度からは、民間工事も含め、CCUS活用へ完全移行します。
具体的には、建退共について、元請けが購入する共済証紙が下請けに交付されず、技能者の退職金に適正に充当されていないケースを問題視しており、共済証紙の配布からCCUSの就労履歴データを活用した掛金納付の電子申請方式への切替えを本格的に実施します。

✔技術者の社会保険と年金加入状況の実態把握
令和2年10月からの作業員名簿の作成等の義務化に伴い、労働者の現場入場時の社保加入確認においてもCCUS活用を原則化します。
社会保険と年金の加入状況のデータベースとの連携により、いわゆる「偽装一人親方」といった働き方改革の規制逃れを防ぐ効果も期待されています。

国交省はCCUSを「建設業の若年労働者増加への切り札」として強く普及に取組んでいます。実質的にはCCUSに登録しなければ仕事に支障をきたすようになると考えられます。

④人材採用・育成定着の課題解決に

先にあげたように、CCUSは技能者の立場にとってはメリットがある仕組みです。
多くの事業者が人材採用や育成・定着といった部分では悩みを抱えているのではないでしょうか。
今後取り組まざるを得ないCCUSを積極的に活用することで、こうした課題解決の一端になるかもしれません。

1.人材採用のアピールポイントになる

CCUSによるスキルアップや昇進の機会を提供することで、会社が有能な人材を採用しやすくなる可能性があります。また、CCUSを活用することで、会社の雇用安定化や社会的責任の履行といった点についてアピールすることができます。

2.社員の意欲やモチベーション向上につながる

CCUSを活用することで、社員が自己啓発に取り組むことができるようになり、スキルアップやキャリアアップに対する意欲やモチベーションが高まる可能性があります。そのため、企業の人材育成につながることが期待できます。

3.会社内でのスキルアップや人材配置の最適化が可能になる

CCUSによってスキルアップを促進することで、従業員の能力やスキルの向上が期待できます。そのため、会社内での人材配置の最適化や人材の育成・活用が可能になり、会社の生産性向上や競争力の強化につながる可能性があります。

以上のように、CCUSは人材採用や育成・定着に役立つ可能性があります。

国交省もCCUSを活用し、若年人材の確保・育成に取り組んでいる企業を対象とした「建設人材育成優良企業表彰」制度を創設しました。
その創設の理由として、「技能と経験に応じた処遇と育成が受けられる環境を整備した努力をたたえ、担い手の確保・育成の取り組みを一層喚起していくことが重要」としています。

⑤まとめ

いかがでしたか?

建設キャリアアップシステムは国が官民一体となり、強力に推進している制度であるということがよくご理解いただけたかと思います。
そう遠くない時期に、公共工事に限らず民間工事においても、未登録の事業者と技能者は現場に入ることができなくなる可能性は十分考えられます。

そうであるなら建設業に携わる人は、早めに登録しておくのが賢明かもしれません。
また事業者としては、この制度自体を活用し、今こそ技能者を大切にし、技術力を高めるといった健全な仕組みを会社として整えていくことも有効ではないでしょうか。